冠を被せる

歯の治療を途中でやめてしまう人もいます。その理由がなんであれ、治療途中のまま放置するのは絶対によくありません。たとえば、冠を被せる必要があるのに、その下のセメントを埋めただけの状態で放置していたとしましよう。セメントは強度が足りないうえに、細菌をブロックするほど、歯に対しての接着力もありません。毎日の食事で容易にすり減り、そこから細菌が入って、新たに虫歯が発生してしまいます。取れてしまった差し歯を放置するのも同じこと。冠に守られていない歯はとても無防備で細菌の餌食になりやすいのです。抜歯したまま放置している場合も、早めに人工の歯を入れる必要があります。抜歯した時点で、かみ合わせは以前とは変わってしまっています。それをそのままにしておくと、両隣の歯が倒れてきて、さらにかみ合わせが悪くなり、あこに不調が出ます。また、倒れた歯は虫歯や歯周病になりやすくなります。

 

ひどい歯周病があるのに、まったく治療をしていない場合は、命を縮める危険性すらあります。歯肉から出てくるウミを毎日意識せずにのみ込むことで、細菌は血流にのって全身にまわり、やがては心臓病を引き起こす恐れがあるからです。こうした例を「歯性病巣感染」といいます。回の中で増えた細菌が、体のほかの場所にも悪影響を及ぼすという意味で、実際にこうした例があることは、数十年前から指摘され、心臓病や糖尿病と関係があるという研究結果もあります。


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